モテたい気持ちとかわいい女の子の怖さについて
突然、エッセイを書いてみようと思った。
そう思い立ったのにはひとつだけ理由がある。それは、「31歳になったころ、穂村弘ばりのおもしろエッセイを出版し、サブカル女子から大いにモテたい」という感情が抑えきれなくなったからである。
こんな理由で立て続けにブログを更新し、好きな文章ばかり書いていると、こなすべきタスクをこなしていない各方面からお𠮟りを受けるかもしれない。
しかし、これも僕が第二の穂村弘となりサブカル女子から大モテするためのやむをえない犠牲だと思って我慢してほしい。ごめんなさい。
ところで、ここまで書いて筆が止まった。
なぜなら、書くべき内容を考えていなかったからだ。
ここで10分悩んだ。
大地は揺れ、花々は不安げに首を垂れ、海は我が大いなる悩みを嘲笑った。
そして、ぼくは「怖いもの」について書くことにした。
なぜなら面白そうだったから。
それ以外に根拠はない。
ぼくの怖いもの:
・人混み
・健康保険証
・綿菓子の匂い
・カラオケ
・ちょっとだけ暑いけどそんなに暑くない気温
・晩夏の夕暮れ
・川谷絵音
・クーラーの効いていない満員電車
・自動車教習所の教官
・かわいい女の子
…。
そうだ、ぼくはかわいい女の子がこわいのだった。忘れていた。
かわいい女の子が近くにいると萎縮してしまう。まるで結露の窓に取り囲まれたときのように。
そして、
かわいい女の子は自信に満ち溢れている。
かわいい女の子は心にもない謙遜をする。
かわいい女の子は自分か愛される術を知っている。
かわいい女の子はつまらない。
かわいい女の子はユーモアのセンスがない。
だけど、
かわいい女の子は、かわいい。
言うなればHPもMPもないくせに、初期状態から最強の剣だけもっているRPGゲームのようなものだ。
かわいい女の子は怖い。けど、羨ましい。
つい先日、「バニラのにおいがするタイニーな女の子には勝てない」というブログ(http://diary.uedakeita.net/entry/2016/09/10/133718?utm_content=buffer3f5bb&utm_medium=social&utm_source=twitter.com&utm_campaign=buffer)を読んだ。
「勝てない」なんて、当然である。
霊長類最強といえば吉田沙保里か、バニラの香りのするタイニーな女の子か、といったところなのだから。
ところで、ここでひとつ白状しなければならない。
ぼくはかつて1度、おそらくバニラの香りのするタイニーな女の子と付き合ったことがある。
「おい、かわいい女の子怖いんじゃなかったのかよ!」という非難は甘んじて受けよう。もし必要なら、バニラの香りのするタイニーな女の子と付き合ったことのない者だけ石を投げてくれても構わない。
ただ、ひとつ聞いてほしい。
ぼくと彼女は1ヶ月で別れた。
1ヶ月なんて無に等しい。
嘘だと思うなら自分の9月の思い出を振り返ってみてくれ。
こんなブログを読んでいる人間なら「なるほど、たしかに“無”に等しいな…」と納得してくれるはずだ。
別れた当初は当然つらかった。家に引きこもった。哲学の本を読んだ。夜中に楽しかった記憶を思い出して泣いた。
しかしまあ、今になって思えばなんのことはない。
バニラの香りのするタイニーな女の子と、陰気でサブカル女子にモテたい!と言っているような男とは釣り合わないのだ。
これはもう、「サブカル女子は猫が好き」なのと同じくらい自明のことである。
さらに言ってしまえば、ぼくにとっては一応、彼女とは「付き合って別れた」ことになっている。
だが、おそらく彼女の記憶ではぼくは「元カレ」フォルダではなく「気の迷い」フォルダに収納されているのだろう。
それでもバニラの香りのするタイニーな女の子の記憶の隅っこにでもいられれば光栄なことである。
こういうわけで(?)、ぼくはかわいい女の子が怖い。
もうこのブログを読んだかわいい女の子はぼくに勘違いさせるような行為は慎んでほしい。
話しかけるなら「あなたに異性としての魅力は感じていないんですけど…」というフレーズを枕詞にしてほしい。
だけど、そうなるとひとつ困ったことがある。
だってすべての女の子はかわいい、から。
(はい、今モテた!!!!)
おしまい