可能性と後悔

わかりあえない僕たちは

2014-01-01から1年間の記事一覧

湿気

今日は雨だった。昼前までは鈍い曇天で、まるで冬の天気のお手本のような空だったけれど、いずれにせよ持病の頭痛が悪化するからあまり好ましいものではない。神様にも不機嫌な日はあって、ぼくらみたいな地上に生きる人間はただ黙って彼の理不尽を甘受する…

愛に関する断章

「何年か前にさ、『愛のむきだし』って映画あったじゃん? おれ、剥き出しじゃないと、愛じゃないと思うんだよね。」愛はどんな形をしているのだろう。まるいのだろうか。角ばっているのだろうか。ギザギザしているのだろうか。それとも、人間のかたちをして…

×3

みなさん、お元気ですか?お元気ですか?なんて訊かれても知らねえよって思う方が大半だと思いますが、まあせっかくだからご容赦ください。ぼくの方はですね、まあ元気ではないですけど、生きてます。生きてます。それで充分ですよね。元気に生きてる人の方…

隕石が落ちた日

今回は久々にブログらしい文章を書こうと思ってます。というのも、武蔵美の芸術祭に行って思ったことを少しまとめとかないとな〜っと思ったからです。ムサヴィランズとか武蔵美美少女図鑑だけ目当てで行ったわけじゃないんですよ!ってアピールもしとこうか…

拝啓

10月10日午前3時、あなたはいかがお過ごしですか?ちゃんとご飯は食べましたか?ちゃんと歯磨きしましたか?ちゃんと愛する人に愛してるって伝えましたか?2014年10月10日の午前3時はもう2度と来ないことをあなたは知っていますか?悔いのないように生きまし…

アンハッピー

「死にたい」を言うことの出来ない世界でぼくは生きている。うっかり「死にたい」を口に出そうものなら、すぐに“生きなさい警察”が飛んできて、更生施設に連れて行かれる。“生きなさい警察”は常に目を光らせているのだ。更生施設ではアフリカの貧しい子供た…

嘔吐

おれの言葉は常に懺悔でしかない。そして、この「懺悔でしかない」という言葉も発せられた瞬間からただの醜い自己弁護に変容する。何層も積み重なった入れ子状の自己嫌悪でおれの言葉は作り出されている。おれはいつだって汚い。姑息だ。卑怯だ。こんな内面…

せめてハタチになる前に

せめてハタチになる前にきみを愛して死にたいせめてハタチになる前に何も成し遂げられなかった男として死にたいせめてハタチになる前に本当の蜜の味を知って死にたいきみを愛していないとか、そんなことはこれっぽっちもなくて。けれどもおれは、この世界で…

恋がそっと入って来られるように恋が黙って出て行けるようにドアを開けて寝よう。

空の青、哀しみの青

先日、小学校の同窓会があった。同窓会と言っても、当時仲の良かった8人程度にしか声のかかってない小規模なものだ。それでも、久々の"同窓会"という甘美な響きに若干の期待を抱きながら、ぼくは待ち合わせ場所に向かった。待ち合わせ時間の30分前、「ちょっ…

たとえば好きなものの話とか

窓際の席でぼくは、夏の強い日差しを背に受けながら、一向に埋まる気配のない原稿用紙を絶望的な気分で眺めていた。9歳のときの話だ。「好きなものについて書きなさい」先生がそう言った途端、周りのみんなの硬質で不安そうな視線はふっと緩んだ。けど、僕は…